機械設計士が39歳で転職した全記録|7社の面接とエージェント活用法
「40歳目前での転職なんて無理じゃないか?」
私も最初はそう思っていました。
前職では機械設計士として15年間勤め上げ、係長・主任クラスまで上がった。それなりのキャリアは積んできた。でも、毎日23〜24時まで残業が続き、精神的にも限界を迎えた日、泣きながら部長席に相談しに行きました。
それが私の転職活動のスタートです。
結果として、39歳・子供3人・家の引越しと同時進行という状況で、7社の面接を経て転職に成功しました。給料は前職以上、残業もほぼなし、念願の集中できる職場環境を手に入れました。
この記事では、その実体験を丸ごとお伝えします。「製造業・機械設計」という特殊なキャリアだからこそ見えてきたこと、エージェントの使い方、面接で聞かれたこと、会社のブラック度を見極める方法まで、体験ベースで書いています。
同じように「転職したいけど一歩が踏み出せない」という製造業・技術系の方に、少しでも参考になれば嬉しいです。
📋 この記事でわかること
- 機械設計士が転職市場でどれほど求められているか
- 転職エージェントの選び方・活用方法(実体験)
- 7社の面接で感じたこと・落とされた理由
- ブラック企業を面接の場で見極める方法
- 39歳・子持ち・初転職でも成功できた理由
筆者プロフィール|前職15年・機械設計士
まず簡単に自己紹介をします。
大学を卒業後(1年留年しましたが)、就職活動をほぼしないまま、たまたま受けた機械メーカーにそのまま採用されました。「設計以外がやりたい」と言ったはずが、配属先はなぜか「工機部 設計」。当初は絶望しましたが、設計した装置が実際に現場で動く達成感にどんどんはまっていきました。
その後15年間、自動車業界向けの工場内装置を専門に担当。シリンダ・モータを使った自動化装置や生産ラインの設計を経験し、係長・主任クラスまで昇進しました。グループ会社のアイデア展示会で2件選ばれるなど、仕事自体は評価されていましたが——
年々増え続けるノルマと人手不足の中で、少しずつ心が壊れていきました。
限界を迎えた前職での日々
前職はいわゆる「半ブラック企業」でした。いきなり暴力があるわけでも、怒鳴り散らす上司がいるわけでもない。でも、気づいたら完全に限界を超えていたというタイプです。
具体的にどんな状況だったか、正直に書きます。
- 毎日の退社は23〜24時。守衛さんとは仲良しになっていた
- 残業代は上限あり。上限を超えると「まだあの件あるよね?」と呼び止められた
- 数千万円規模の装置を複数同時に一人で設計・管理
- 「コスト1/2・面積1/2・省人化」というグループ本体からの永続的プレッシャー
- 会議や対策に追われ、本来の「設計」ができない悪循環
それでも続けられたのは、設計という仕事自体が好きだったから。でもある日、タイミング悪く着任した上司からの追い打ちを受けて、限界を超えました。
思ってもないのに勝手に涙が出てくる。そんな状態になって初めて、「あ、自分は壊れているんだな」と気づきました。
気づけば直属の課長ではなく、部長の席に泣きながら相談しに行っていました。そこで初めて「退職」の言葉を口にしました。
⚠️ 気づいてほしいこと
「思ってもないのに涙が出る」「体は出勤しているのに頭が動かない」という状態は、心が完全に限界を迎えているサインです。私はそれを誤魔化しながら出勤し続けました。もしあなたが今その状態なら、転職活動よりもまず休養を優先してください。
転職活動で知った「設計士の異常な需要」
退職を決意し、人生で初めての転職活動を始めました。「40歳近い製造業出身者なんて、どこも欲しがらないかも」と思っていた私は、最初の転職エージェントとの面談で度肝を抜かれます。
担当の女性スタッフによる一通りのヒアリングが終わると、「それでは設計関係のエージェントが参りますので」と案内されました。しばらくすると……続々と人が入ってきて、最終的に私1人に対してエージェントが10人並ぶという光景になっていました。まるでアイドルのサイン会のようでした(笑)。
話を聞いて分かったこと。どの業界も、機械設計者は深刻な人手不足状態にあるということ。大手で実績を積んだ設計士は独立してしまうことも多く、経験者の獲得競争が激しいのです。
紹介いただいた求人のジャンルもさまざまでした。
- パチンコ台の設計・試作
- モータ製造ラインの生産技術・設計
- 大型装置設計(個人事務所)
- 自動化ラインの装置設計
- 超有名CADソフトの開発サポート
- 医療機器の設計開発
- 実験・生産装置の設計開発 など
15年間「社内工場向け専用機」しか触ってこなかった自分でも、こんなに需要があるのかと驚きました。そして「転職活動が始まってもいないのに、すでに安心感があった」というのが正直なところです。
✅ 機械設計士が転職市場で有利な理由
- 業界横断的に需要がある(自動車・医療・食品・半導体など)
- 長期継続勤務の経験者は特に評価される
- 「初転職」は誠実さのシグナルとして好印象を与える
- ネガティブな転職理由を出さなくてよいケースが多い
転職エージェントの選び方と注意点
転職エージェントを使う際に、実体験から感じた注意点をまとめます。
エージェントは「採用させてナンボ」を理解しておく
エージェントは転職者を企業に採用させることで報酬を得るビジネスです。これ自体は普通のことですが、意識しておかないとエージェントに主導権を握られてしまいます。
私が体験したのは、ある会社の面接で不採用になった直後のことです。それまで楽しく世間話をしてくれていたエージェントが、不採用の通知が来た途端に「それでは失礼いたします」と忍者のようにサッと部屋を出ていきました。去り際のあまりの速さが印象的でした(笑)。良くも悪くもそれがエージェントのリアルです。
「支店への直接訪問」が意外と効果的
WEBだけでやりとりするより、直接支店を訪問して相談する方が担当者も本気になってくれます。私は電話ですぐ連絡がきて、設計専門のエージェント複数名と直接話せました。面倒でも足を運ぶ価値はあります。
製造業・機械系の転職に強いサービスを選ぶ
大手の総合型転職サービスはエージェントの数も多く、設計・製造系の求人も多数保有しています。一方で、製造業専門のエージェントサービスは、業界に精通した担当者がついてくれるため、より詳細な企業情報を教えてもらえます。
7社の面接リアルレポート
私が面接を受けた7社について、印象に残っていることを正直にお伝えします。大手から中小まで幅広く受けましたが、それぞれで気づきがありました。
①小規模機械設計会社|世間話で終わった面接
少数精鋭の個人事務所規模。自社工場があり技術力は感じましたが、通勤時間が1時間半超えとなるため、その場でお断りしました。面接というより世間話ムードで、和やかな雰囲気でした。
②大手電機検査機器メーカー|満員電車でフラフラになって到着
15年以上ずっと車通勤だった私が、朝ラッシュの満員電車に乗ったら本気で吐きそうになりました。駅に着く頃には眩暈状態でフラフラ。面接自体は技術的な会話のラリーができて手応えはあったものの、給与の希望額が合わず不採用に。「満員電車のプロ」の皆さんを尊敬しました。
③超有名CADソフト会社|異世界のような高級オフィスへ潜入
1ライセンス数百万円の3D CADソフト会社。都市圏の高級オフィスビル1フロアに構える、完全IT企業スタイルのオフィスでした。いつも作業着の私がスーツで訪問するだけで異世界感があり(笑)、面接後は高級カフェでエージェントとコーヒー。結果は「営業未経験」が響いて不採用でした。
④大手電機メーカー|面接中からブラックの匂いがプンプン
老舗の超大手。建物は老朽化していて製造業感が漂います。面接中に業務内容を説明されていて気づいたのですが、設計業務に加えて生産ライン管理・現場デバッグまで担当するという内容で、明らかに「何でも屋」状態。人手が足りていない状況が透けて見えました。前職での経験があったからこそ、見抜けました。制御系の経験不足で不採用にはなりましたが、これは逆に助かったかもしれません。
⑤大型装置設計メーカー|試験ボロボロでも採用通知が来た
事業が順調で新社屋に移ったばかりの中規模メーカー。筆記試験は設計の専門知識チェックがあり、鋳物系が苦手な私はボロボロ。思わず人事の方に「いまいち解けなかったですけど大丈夫ですかね」と漏らしたら「あぁ大丈夫ですよ」とのこと(笑)。面接では技術的な質問に答えることができ、採用通知が来ましたが、理想の「パーティション型デスク」がない広いオフィスだったため保留に。
⑥機械要素部品メーカー|自宅からチャリ圏内という誘惑
老舗の部品メーカーで、自宅から自転車で行けてしまう距離。「通勤が楽」という誘惑に揺らぎながらも、2次面接で給与希望額について「主任クラスでもそれくらいの人はうちにいない」と難色を示された。エージェントが交渉してくれると意欲満々でしたが、給与が上がれば先輩との関係がやりづらくなる懸念もあり、最後の1社を受けてから判断することにしました。
⑦現在の会社|「ここに決めた!」と入った瞬間に思った
自宅から車で50分の小規模装置メーカー。面接官の事業部長は豪快でフレンドリー、しかも自分と同じような業界出身で会話が弾みまくりました。そして職場見学で事務所に入った瞬間——「ここに決めた!」と思いました。理想としていたパーティション型デスクがそこにあったのです。給与交渉も問題なし(社長は少しゴネたらしいですが)。決まる時はとんとん拍子でした。
面接でブラック企業を見抜く方法
7社受けた経験から、面接の場でブラックorグレーな会社を見抜くための実感ベースのチェックポイントをまとめます。
①「何でも屋」業務の匂いを感じたら要注意
業務説明の中で「設計に加えて現場管理・トラブル対応・生産管理も…」などが自然に出てきたら、人手が足りていないサインです。前職でも同じ状況で痛い目を見ているので、これはすぐ気づけます。
②常時中途採用しているかを確認する
求人サイトで同じ会社が何ヶ月も同じ求人を出し続けている、または中途採用の掲載数が多いケースは「人がすぐ辞める」可能性があります。エージェントに離職率を聞いてみるのも手です。
③面接官のオーラと雰囲気
これは感覚的ですが、超大手の面接で感じた「ただならぬオーラ」は独特のものがありました。プレッシャーが強い職場ほど、面接官も自然とそういうオーラを纏っています。
④職場見学でデスク周りを確認する
私の場合は「パーティション有無」にこだわりましたが、デスクの散らかり具合や個人のスペースの余裕感などから、普段の業務のゆとりが読み取れます。見学のタイミングがあれば積極的に活用してください。
⑤自分の「譲れないポイント」を履歴書に書く
「集中できるデスク環境が必要」という内容を私は堂々と履歴書に書きました。どの面接官からも説明を求められましたが、ちゃんと理由を話せば理解してもらえます。むしろ「それを書ける人は信念がある」とポジティブに見てもらえることもあります。
最終的に転職を決めた会社の話
現在の会社は、従業員50名ほどの小規模な装置メーカーです。業界としてはニッチですが、今後の技術動向を考えると確実に需要が増えていく分野で、研究段階から実用化へと進んでいる業界です。
大企業と比べると規模的な安定感には劣りますが、自分のアイデアが製品に直結できるスピード感と、無駄な会議・MTGがほぼないことは大きなメリットです。
給与は前職以上、残業はほぼなし、通勤は車で50分(信号がほぼなく運転が好きなので問題なし)。転職から6年経ち、今も快適に働いています。
転職成功の鍵は「自分の軸」を持つこと
7社の面接を経て実感したことをまとめると、転職成功のカギは「自分の軸を持ち続けること」です。
チャリ圏内の通勤の楽さに揺らいだり、大手のブランドに惹かれたり、何度も迷いました。でも「パーティション型デスクで集中できる環境・給与は前職以上」という2つの軸だけは最後まで手放しませんでした。
転職市場では、在職中に転職活動を行う「在職中転職」が有利です。焦って軸を曲げなくていい余裕が生まれるからです。私は子供の転校タイミングという制約がありましたが、それでも最後の1社を受け切ってから判断しました。
✅ 39歳・初転職で成功できた理由まとめ
- 15年・1社継続のキャリアが「誠実さ」として評価された
- 転職理由をネガティブにせず、前向きな理由を軸にした
- 専門職(機械設計)の市場価値を最初に確認できた
- 給与・職場環境という2つの軸をブラさなかった
- 転職エージェントをうまく活用した(複数のエージェントと話した)
機械設計士・製造業の方におすすめの転職サービス
最後に、機械設計・製造業系の転職で使いやすいサービスをご紹介します。私が当時活用したのは大手の総合型でしたが、現在はより専門特化したサービスも充実しています。
まずは大手の総合型で求人の幅を確認する
求人数が多く、設計・製造系の求人も豊富です。最初の登録先として使いやすく、複数のエージェントに会えるため、自分の市場価値を客観的に把握するのに向いています。
製造業・技術職に特化したサービスも検討する
機械設計・生産技術など製造業に特化したエージェントは、業界の実情をよく知る担当者がつくため、職場の雰囲気やリアルな情報を得やすいです。求人数は総合型に劣りますが、ミスマッチが少ない傾向があります。
まとめ
機械設計士として15年勤めた会社を、39歳・子供3人・引越しと同時進行で退職し、7社の面接を経て転職成功するまでの全記録をお伝えしました。
「年齢的に遅いかも」「子供がいるから無理かも」と思っている方へ。私がそうだったように、技術職・専門職のキャリアは年齢以上に評価される場面が多いです。
転職エージェントに登録するだけなら無料ですし、まず自分の市場価値を知るだけでも大きな一歩になります。ぜひ一度、話を聞いてみてください。
この記事が、あなたの転職活動の参考になれば幸いです。
👤 筆者について
機械設計士として15年勤務後、39歳で転職成功。現在は中小企業で装置設計に携わりながら、同じ製造業・技術職の転職を考えている方に向けて情報を発信しています。

